GLIが過去2年間、社会企業(social enterprise)と社会起業家(social entrepreneur)のコンセプトを中国に紹介するための活動に精力的に取り組んできた。 2004年11月には、中国で初めて英国の社会起業家を招聘し、北京と上海で社会企業をテーマとするセミナーを開催した。その第2ステップとして、翌年、中国のNGOリーダーやメディア代表などの訪英プロジェクトを企画した。有力ビジネス誌、「21世紀商業評論」が2006年の1月号、2月号に38ページをかけて、このプロジェクトを報道し、大きく話題になった。今年2月上海で行なった訪英報告会では、NGO、企業、大学、政府の代表者から、社会企業の中国での役割と将来性、また、GLIの今後の活動への要望などについて数多くの意見が出された。
今回のワーキンググループ(以下WGと略す)は、北京社会科学院副院長の馬仲良教授の提案のもとで立ち上げた。馬教授は「ソーシャル・エコノミー」を提唱する著名学者。北京市政府が立ち上げた「北京市コミュニティ・リフォーム研究チーム」のリーダ役も勤めている。 WGの発起団体は、北京社会科学院、グローバル・リンクス・イニシアティブ(GLI)と社区参与(地域再生の市民参加を促進するNGO。本部は北京)。参加団体・機構は、北京朝陽、宣武、東城、西城4区の5つのコミュニティ(街道)の行政担当者、民政局代表、業界団体代表、学者など約20名。
8月23日に、WG第1回の会合が行なわれた。ここでその概要を紹介する。また、今後のスケジュールとしては、10月19日に、海外からの社会起業家を招聘したセミナーを開催。そして、07年には海外学習ツアーを企画し、年内に報告書の提言書をまとめ、北京のコミュニティでパイロットプロジェクトを発足する予定。
<以下第1回WG会合概要>
日时:2006年8月23日9:00——11:30AM 場所:北京市社会科学院会議室
会合の流れ ① 北京社会科学院馬副院長から挨拶と趣旨説明 ②GLI活動紹介 ③社区参与の事務局長宋慶華氏より、今回のWGに参加するきっかけの紹介 ④第二部-参加団体の自己紹介
①北京社会科学院馬副院長から挨拶と趣旨説明 "このWGのテーマは、ソーシャルエコノミー中の「社会企業」の役割と将来性。マーケット経済は、利益追求を最大の目的とするが、それに比べ、ソーシャル・エコノミーは、営利を目的としない事業活動とマーケット経済の中間にある経済形態と理解している。 ソーシャル・エコノミーは、福祉、健康、教育、コミュニティサービス、就業支援などの分野に及ぶ。マーケット経済を補完し、現在わが国の経済体制から生まれた様々な社会問題を解決する鍵になる。 今回の会合はあくまでもスタートに過ぎない。このWGの成果を最大限に活用し、今後、北京市のコミュニティで社会企業のパイロットプロジェクトを展開したい。 「調和のとれる社会」は合言葉になっている今こそ、その実現に社会企業の役割が大きく期待できる。”
②GLI活動紹介 次にGLIの朱恵文より、GLIが社会企業ならび社会起業家をテーマで展開した活動を紹介。(ここでは省略。)
③社区参与の事務局長宋慶華氏より、今回のWGに参加するきっかけの紹介 続いて、社区参与の事務局長宋慶華氏から、今回のWGに参加するきっかけを紹介した。 "初めて「社会企業」の言葉を耳にしたのが2004年、GLI主催の交流会に出席したときだった。2005年、またGLIの招聘で、イギリスの社会企業を訪問する機会に恵まれ、社会企業と社会的起業家に対する理解を深めた。 社会企業のコンセプトは、中国だけでなく、グローバル範囲でもまだまだ議論の多い新しいものだが、わが国にとって、三つの面で積極的な役割が果たせると思う。 第一、社会企業の普及による就業機会の創出。第二、政府主体の福祉サービス体制の改革。第三、社会企業を媒介の市民参加の意識と責任感の育成。”
④第二部-参加団体の自己紹介 会合の第二部として、参加者からの自己紹介があった。
宣武区広内街道 "広内では、99年にコミュニティサービスセンターを設立した。主には、政府の就業支援政策を元に、コミュニティの中の失業者、障害者などの弱者に就業の機会を提供する。例えば、町の整備清掃、お年寄りの介護など。しかし、いままでの活動をどの方向に持っていくのか、どこまでサービスの対象にするのかの疑問が日々多く感じる。”
宣武区望京街道 "望京の住民は約20万、35歳から48歳の年齢層が一番多い。行政だけでのコミュニティ管理はあまりにもコストが高い。コミュニティ自身のリソースを最大限に利用するのが一番大きな課題である。 現在主な業務内容は、弱者に対するサービス、子育て支援、就業訓練、健康管理コンサル、住宅の仲介など。”
崇文区東華市街道 "東華市は、北京市の町再建の過程で生まれた新しい街道、敷地約1.9万平米。 2005年4月に、コミュニティサービス協会を設立した。それから一年あまり、協会の会員数は順調に伸びている。協会は、就業支援センターなどの機構とうまく連携し、毎月20人ぐらいが再就職できる。 また、お年寄りに対するサービスもそのニーズによって細分化した。専門な介護が必要なお年寄りには介護士を紹介する;買い物、料理の手伝いが必要な方には、コミュニティの中の失業者や、軽度の障害を持つ方に委託する。60歳以上の方全員に、名前と協会の電話がかかれた「ID」を配布した。”
東城区民政局 "まず、社会経済と社会企業の概念をよく整理する必要がある。また、社会企業のコンセプトを成り立つには、それにまつわる法的な枠組み、例えば法人体、税金、登録などの条件をクリアしなければならない。この辺りの海外の経験を紹介してもらいたい。”
次回の会合は、9月7日に行なう予定だ。
(李凡) |