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【中英】2007年英国社会企業訪問交流活動記

英国駐上海総領事館と英国バージン航空の多大なるご支援の下、2007年3月4日から12日まで、GLIの企画による英国社会企業学習/交流活動が行われ、大きな成果と共に滞りなく終了した。


上海で結成された訪英団のメンバーは、政府、大学、企業、非営利組織から参加している。この多元的メンバーは、目下の社会の三大部門と言われる政府、企業、第三セクターのすべてを網羅している。幸いに私もGLIの新しいメンバーとして、同行する機会をあたえられ、英国に赴いた。

GLIと接触するまで、私は社会企業という概念はまったく知らなかった。限られた書面の知識を通じ、社会企業は企業モデルの運営によって社会利益を実現することを目的とした組織であるという初歩的な理解を得た。社会性と起業家、一見矛盾するこの二つの概念が一つの新しい名詞 社会起業家 を合成した。営利と公益を結びつけ、単に資金を寄付する方式ではなく、社会起業家のイノベーション精神と商業機構運用の高効率性を以って、社会の公益のために絶えず活力を注入している。

1. Blomley-By-Bow コミュニティ
 
ロンドン東部、移民の多いこの貧困地域では、過去24年間をかけて、みすぼらしい小さな教会をしだいに発展させてきた。今では、各種の機能を備えた、調和の取れた一大コミュニティとなったばかりか、全英初のコミュニティ健康生活センターを擁している。
コミュニティの中では、違う国からきた人々が、互いに助け合い、技能を学んでいる。センター主任のRob Trimbleの紹介によれば、センターには115人の職員がいて、18のプログラムを行っている。毎月約550の住民がコミュニティで各種の技能を学んでおり、1500人が健康生活センターを訪れる。コミュニティでは、目下22の社会企業プロジェクトを育成中(英語教室から資格が得られる養成コースまで)。コミュニティの目標は、地域のすべての人々の力を引き出し、人を助けると同時に自分も助けることである。恊働(partnership)・卓越(excellence)・整合(integration)という三大理念を大切にしており、コミュニティ自身が中央政府と地方政府のパートナーとなり、政府が関連の支持政策を制定する際には、色々な提案を行う。


2.ホワイトヘヴン・コミュニティトラストとウェストレイク科学技術パーク


この美しい海辺の小さな町で、ホワイトヘヴン・コミュニティトラストはコミュニティ再生の主力となった。このトラストは、12歳から18歳の浮浪青少年のために、「家なき者の家」を建てた。町役場の2階にあるコーヒーショップは、彼らの職場であり、調理技術のトレーニングを受ける場でもある。自活することと労働の成果により、彼らは自信と希望を取り戻し、間違った道に踏み込むことはないという。町の中心にあるニコラスセンターは、大火事で焼けてしまった教会の跡地にコミュニティ食堂として建設された ものだが、もともとの宗教的機能は保持しており、礼拝をして瞑想する場とコーヒーを飲んでおしゃべりする場は、透明なガラスのドアで仕切られているだけである。

                   


町に近いウェストレイク科学技術パークは、新しい科学技術の代表であり、原子力を主要な開発対象としている。風光明媚な山間部にあり、英国の原子力エネルギー技術の前線基地である。大型企業、名門校の研究所が立ち並び、社会企業の加入はないが、パーク自体がここでの若い人の起業を歓迎しておあり、その存 在は周辺の町の就職と経済にとって、チャンスと希望をもたらしたと言える。

                                 


3.TRACK 2000


カーディフ(ウェールズ首府)に着くとすぐ、我々はTRACK 2000に向かった。ちょっと乱雑に見える倉庫には、回収してきた家具などが積まれている。これまでに回ったいくつかの社会企業のように、明るく整頓されてはいないが、私にとっては最も印象の強い場所となった。というのも、ここが生み出す社会効果はより普通の住民に近いものだからだ。ここの一切の施設・設備は、 基本的に購入したものはなく、中古品を修繕して再利用しているのだと知った時には、密かにこの社会企業に対して尊敬の気持ちが湧いた。

                         


TRACK 2000の創始者であるTony Crocker氏は、我々に中古品の再生過程を見せてくれた。回収した廃棄物や中古品は、修繕後、低廉な価格で、貧困家庭に販売される。非常に貧しい家庭に対しては、ただで寄贈するばかりか、自宅まで配送する。持続可能性があるばかりでなく、人情味ある計らいである。
中国の家庭でも、使わなくなったが棄てるには惜しいという物はあるが、往々にして、家の外に積み上げて、公共スペースを占有することになる。もし我々にも“TRACK 2000”があれば、棄てるには惜しい不用品が、再度他の人の需要を満足させられる。


4.Solas 楽しくて希望あふれる家なき者の家プロジェクト


ホワイトヘヴン・コミュニティトラストの「家なき者の家」と、類似する部分もあるが、ニューポート市の「Solas」もホームレスの人に全方位の援助を提供している。同時に、教育トレーニングの機会も提供し、彼らの潜在的な能力を開発している。ここで、我々は、画家たちの作品を鑑賞し、歌手たちの歌を拝聴し、コックたちの料理を味わった。彼らはみなSolasがホームレスの人たちの中から発掘し、育成した人材で、中にはレコード会社と契約してプロの歌手になった人や、世界ホームレスサッカー大会で英国を代表して戦った人もいる。ここで学んだ技能は、彼らの社会復帰に十分なものであり、社会的にも認知されている。


5.KALEIDOSCOPE 万華鏡


万華鏡のサービス対象は、おもに麻薬問題に関わる人々である。ここの営業は、毎朝の7時からスタートする。麻薬問題を抱えているサラリーマンたちは、仕事に行く前に治療を受けることができるし、プライバシも守られる。
薬の服用量と時間は、コンピューターで厳密に管理されており、専門の医師と看護士が「顧客」に医療的・心理的治療を提供し、彼らが生理的に健康を回復するのを助けると同時に、心理的にも尊重されるよう助け、可能な限り彼らが再度麻薬に染まらないようにする。これは、強制的な麻薬隔離とはまったく違う、人 間らしいやり方だが、却って良い効果をもたらしている。このほか、彼らは他のNGOと協力し、ホームレスや他の社会問題の渦中にある人たちのために、サービスを提供する場所を設け、無料でスーツや革靴を提供し、こざっぱりとした出で立ちで就職面接に参加できるようにしている。

                       


短い10日間の見学ではあったが、社会企業の力を十分に感じることができた。社会企業の運営モデルは、社会に尽力する組織の持続的な発展を可能にする。
中国でも、各種の社会問題に熱心に取り組む草の根組織には事欠かないが、情熱や数人のリーダー的なボランティア、そして自発的に参加してきたボランティアだけに頼っていたのでは、よいアイディアも長続きはしないだろう。彼らには社会資源と政府の支持が欠けており、整った組織形態もないからである。彼らが やりたいことも、現在やっていることも、確かに社会に有益だろう。しかし、外部条件が完備していなければ、組織の発展や事業の継続をするには、“社会企業”の理念が必要である。
今回の行程中、異なったセクターから参加した訪問団メンバーは、それぞれに必要なものを吸収し、英国サイドと積極的に交流した。政府メンバーは、社会企業がどのように政府の信任と支持を獲得したのかに関心があり、企業家はどのように商業領域で公益の考え方を広げようかと考え、非営利組織は彼らの成熟した 運営モデルを学んだ。


今回の訪問では、幸運なことに、議会ビルでの食事会に招かれ、政府と第三セクター間の協力について議員と話をしたり、社会企業の地域での発展について、地方の行政担当者と意見交換をすることもできた。将来の中国における社会企業の発展と政府・企業・非営利組織との協力について、多面的・多角的に考察する機会となったと言えよう。

                            
文責:朱征
翻訳:松江直子

作者:  松江 |  GLI関連 |  29 March 2007 |  00:00