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NPO法人ETIC、中国/英国訪問報告会を開催

2007年3月20日、社会起業家支援に取り組むNPO法人ETICが、昨年末の訪英と今年1月の訪中についての報告会を行った。世界とりわけ中国でのCSR活動に関心のある日本企業関係者や学生が参加し、中国の市民社会との連携の仕方を考える機会となった。
 
GLIは、ETIC訪英のコーディネイトと訪中の受け入れをしており、報告会では訪中に同行したGLI顧問、駒沢大学李ケンエン助教授による中国市民社会事情の説明も行われた。参加者からは、いまひとつ見えにくい中国市民社会やNGOについて質問が寄せられ、、今後の日本企業の中国におけるCSR活動に、日中の社会起業家がどう貢献できるか、などについて意見が交わされた。
 
報告会第1部 


世界と日本の社会起業家の動向と社会に果す意義〜日本社会はいかにパートナーシップを進めるべきか。(ETICフェロー 広石拓司氏)
 
社会起業家は次世代の拓き手として各国で加速しており、英国では、Third Sector(市民社会)大臣がおかれ、国の政策の一つの柱として「The Social Enterprise Action Plan」が推進されている。現在、五万五千ほどある社会企業の量の増大と質の向上に、国をあげて取り組んでいるという実感があった。
 
中国では、「北京社会企業WG」という行政系の勉強会に参加し、日本の事例を報告した。行政・研究者・企業経営者など幅広い層の参加があり、急成長する経済の中で、社会的機能をどう担保するか、各レベルで関心が高まっている。
また、専門家は、社会企業を単に福祉の補完としてみるのではなく、新しいワークスタ イル・ライフスタイルとしてみるという日本の視点を、中国にも紹介したい、と語っていた。
 
訪問先紹介 (中国発展簡報更香茶富平学校太陽村上海羅山社区センター、GLIネットワーカーサロン等。詳しい内容はサイトの関連記事をご参照ください)

・ETIC訪中:日中社会起業家交流の第一歩

・ETICが北京社会起業WGの第四回会議に参加

・ETICがGLI第四回上海ネットワーカーサロンに参加
 
実際に会った人々のなかには、事業で成功したあと会社をやめ、事業的な経営感覚で社会企業を経営している人や、一旦就職したが、学生時代に関わった社会企業に転職する若者などもいて、社会問題の解決は、従来のボランティア的なものから、社会起業家へのシフトが始まっている。マイクロファイナンス等、支援の 仕組みも民間・行政ともに始まっており、優れた社会起業家を輩出する下地があると感じた。
 
一方、在中日本企業は実は多くのCSR活動をしているが、政府に近いところでの活動が多く、市民社会への貢献という面では、欧米企業のような効果を上げていない。中国の優れた社会起業家を探して支援することは、日本企業が市民社会とのつながりを深める上で重要と思われる。
 
第二部  中国における社会起業家の台頭
(GLI顧問、駒澤大学 李ケンエン助教授)
 
中国におけるNGOの法的地位は、民政部に登録している法定NGO・草の根NGO・準NGO・その他の四つに分けられる。法定NGOだけで33万あまり、草の根NGOは統計がないが、150万以上あると推測される。これらNGOは1995年以降の政府による推進、特に胡政権のすすめる「調和社会」という政策目標との一致に後押しされて急成長している。
 
背景には格差の増大・環境破壊などの社会問題がある。またそれに取り組む人材が増えたことも指摘できる。量的に飛躍的に増えた大学生は、学生時代に公益活動に参加する人が多く、また社会について考える余裕のある知識人や教養人といった新たな「層」が出現し、NGOの担い手が増えた。
 
北京の会合では、政府(民政部門)関係者・政策ブレーン・研究者といった上層部から行政の末端機構・住民組織・企業経営者まで幅広い層が「社会起業家」に興味を持っており、今後「社区」をベースに再雇用や就労創出の文脈で政策的に推進されていく可能性が高いと感じた。
 
事例紹介(北京農家女文化発展センター富平学校。事例の詳細はサイトのをご参照ください)
 
CSR活動としては、欧米企業は貧困や人権・労働といった社会的側面に配慮するが、日系企業は環境関連が多く、就職先として人気がない上、ストライキなどの労働争議が増加している。ストライキを防ぐための補助的なCSRではなく、積極的に社会にアピールするCSRが求められているのではないか。社会全体におけるCSR推進の機運も高まっており、大規模な関連シンポジウムやフォーラムだけでも20回を超えている。
 
また、日本製品やアニメなど、消費文化・大衆文化は日中でかなり共有されているが、市民文化の交流は非常に少ない。市民活動の形態や考え方は、日中で違うので、互いに学びあう必要がある。今の中国は、変革の展開が早く、一旦始まれば大規模に広がる。欧米・香港・台湾は、中国をサポートすると同時に現地の様 々な情報を取り入れて発信している。 中国の若者は日中の草の根交流に積極的なことが最新の意識調査からもわかっており、日本側の対応が期待される。
 
第三部 フリートーク
 
中国の市民社会・NGOに関する質問や、CSRのパートナーの選び方・効果的な進め方についての議論があった。企業関係者からは、欧州企業がCSRを活用し、中国の市民社会を味方につけて市場を開拓しているのを見て、日本の従来のアプローチに課題を感じ、市場開拓のパートナーとして中国の社会起業家を調査している旨の発言があった。また、具体例として、日本での取り組みと同様に、水関係のNPOに 資金提供を考えているという話が出た。
 
在中日本企業のCSR活動展開にあたり、中国に幅広い人脈を持つGLIと、新しいビジネスモデルの創出に経験豊富で、新たな世代の社会起業家交流を推進するETICが貢献できる余地は大きいと言えよう。また中国の社会起業家がスケールの大きなビジネス展開に取り組む様子や そのスピード感が、日本の社会起業家にもよい刺激を与えることは間違いないだろう。
(記録/文責 松江直子)
 

作者:  松江 |  GLI関連ニュース |  30 March 2007 |  00:00