
| 2007年4月15日~20日、GLI国際顧問委員会の年度会議がインドにて開催され、インド南部のNGOや社会企業とも広く交流を行った。
インドは発展途上国におけるNGO大国である。学者の統計によれば、2001年にインドには120万の登録された民間非営利組織があり、そのうち53%が農村地域に分布している。主な活動分野は、宗教、コミュニティサービス、教育、スポーツと文化、健康と衛生などである。2001年の、NPOセクターすべてを合わせた年度総収入は1790億ルピー(約40億ドル)に達し、非農業GDPの1.26%を占めている。 今回訪問した都市は、インド南部の主要都市チェンナイ(Chennai)と「千の寺の町」の美称を持つマデュライ(Madurai)である。
<チェンナイにて> チェンナイでの活動をアレンジしてくれたのは、はじめて会う二人のGLIネットワーカー、Panchuと Sunil Scaria氏である。彼らの協力と熱心な仕事ぶりに感謝を申し上げたい。 チェンナイに着いて2日目、40組の現地NGOとの交流会に参加した。参加したのは、農村教育、社会事業組織、健康と衛生、環境保護、識字教育などの分野の団体で、その多くはGLIのネットワーカーだった。顔をあわせて交流する機会がついに来たことに、みんなが興奮さめやらぬ様子だった。私ともう一人中国から参加した顧問の宋慶華さんは、彼らにとって初めて会う中国人だったそうだ。 私たちはチェンナイで二つの組織を訪問した。Jeeva Jyothi (永遠に消えない灯火)は、ストリートチルドレンの支援組織で、1994年設立、今までに15,000名近いストリートチルドレンに、権利保護、教育と宿泊場所の提供などのサービスを提供している。組織の責任者であるV・Susauraj氏もGLIネットワーカーで、氏によれば、インドの義務教育はあまりうまく実施されておらず、収入の低い家庭の子供が児童労働者となる状況が一般的だそうだ。
Jeeva Jyothi は、「生産による自力更生」というプロジェクトも実施している。チェンナイから10数キロはなれた村に一軒の製紙工場があり、紙の写真立て、年賀カード、筆箱などの工芸品を生産している。作業場はとても簡素で、原料も回収した古紙だが、製品には環境保護意識がはっきりと見て取れる。私たちが見学した多くの組織は、みなこのような手作業の工房を持っているが、投資は少ないものの、市場規模が小さく、せいぜいそれらの施設の見学者ぐらいしか買わない。 チェンナイの道路のほとんどは信号がなく、私たちのミニバンは四方から押し寄せる車や馬車のひしめきあいの中で何度も円を描いた挙句、夜7時にやっとPanchu氏の組織SIPA-南インドNGO手工業産業連合会-にたどりついた。連合会は、1997年に成立、草の根NGOにその製品の展示と販売のプラットフォームを提供することが目的である。またフェアトレード協定にも加盟し、インターネットを通じて製品を販売している。我々は展示室で、インドの大型伝統家具から茶碗・茶托にいたるまで、さまざまなを製品を見たが、種類は非常に豊富であった。 <マデュライにて> マデュライの人は皆、とても誇らしげにこの土地こそがタミルナドゥー州(Taminadu)の都であると言う。というのは、チェンナイに比べ、この「千の寺の町」の美称を持つ都市は、古い歴史があり、重要な宗教行事の日には、インド中から多くの巡礼者がやってくるからだ。騒がしくて混み合ったチェンナイに比べ、マデュライは、美しい緑であふれており、人をゆったりと心地よい気分にさせる。 私たちのマデュライでの活動は、GLIネットワーカーであるChristoper Daniel教授が周到にアレンジしてくれた。Daniel教授はインド南部の著名な社会事業学の専門家で、1981年に「善意社会事業センター」(Good Will Social Work Center)を設立し、おもに女性・子供・青少年の発展に関わる業務に従事している。 センターには目下50名の専門家スタッフがおり、主に二つの分野の仕事がある。ひとつは問題を抱える家庭の、在学中あるいは学校に行っていない子供の保護と教育、保護者の教育、法的援助から家庭に対する手助けである。仕事のやり方は、主に次の手順による。 1.問題を抱える家庭のニーズを発見 2.心理相談、法律相談、他のNGOの協力を得て行う職業訓練を含む時間単位の家庭サービスを提供 3.依頼心を起こさせないよう、進展があれば手を離し、自分で問題を解決する能力を養う。 二つ目は、農村の女性・子供コミュニティ技術訓練センター。スペインのPandaソフトウェア会社基金会の賛助により、おもにコンピューター技術の訓練を提供している。私たちは象鼻山のふもとの村にあるコンピューター訓練センターを訪れ、暖かい歓迎を受けた。その日はちょうど、一部の学生の訓練が終了する日で、私たちから修了証書を渡した。センターの責任者によると、彼らはしばしばお客さんから学生に修了証書を渡してもらい、学生を励ましているのだという。
マデュライのNGOとの交流会 善意社会事業センターが企画した、GLIとマデュライのNGOとの交流会は、257団体の317名のメンバーが参加するという盛会で、席上、私たちはGLIの理念と活動状況を説明した。会で最も注目を集めたのは、北京燦雨石コミュニティアクションの事務局長・宋慶華氏だった。宋氏は中国NGOの現状、中国政府や企業との協力状況を紹介し、中国NGOが直面する問題と将来の発展方向についても意見を述べた。参加者たちは口々に、中国とインドのNGOの発展は、お互いに参考にできるところが多いと語った。 会議終了後、私たちは二手に分かれ、私のグループはまず市街地にあるIMPACTを訪ねた。これは、聴覚障害者サービスの社会企業である。責任者のRita James氏の紹介によると、タミルナドゥー州には165万人の障害者がおり、そのうち20万人に聴覚障害がある。インドでは、新生児の身体検査制度がなく、多くの場合、3、4歳になってはじめて聴覚障害に気付くという、軽視されやすい一群といえる。IMPACTは子供に聴力テストを行い、治療と同時に、専門課程を設けて子供の会話能力を養成している。また、聴力の衰えた成人に対して、理学療法も行っており、お金のない人に対しても無料で治療している。目下ここではプロの看護士8名、医師3名に、約30名のソーシャルワーカーが働いている。 私たちが最後にたずねたのは、深い山懐に抱かれ、鳥の声や花の香りに包まれたChellamuth Trust and Reserch Foundation という知的障害者と精神病患者のための理学療法センターだった。このセンターは1992年にマデュライの精神医学博士Dr.chellauth が設立し、デイケアセンター、長期理学療法センター、精神健康研究訓練センターを擁する。デイケアセンターは専用の送迎車両を持ち、長期的な理学療法が必要な患者のために宿泊設備も提供している。このほかにも、州南部には40近い村に理学療法相談ステーションを設け、身近な場所でサービスを受けられるようにしている。センターの資金の20%は政府の関連部門から得ており、残りは主に外国からの資金援助に頼っている。私たちは理学療法センターで、日本のODA(政府開発援助)のマークのついた建物を見た。
6日間の日程は、インドのような大国からすれば、まったく短すぎて、ほんの一部しか垣間見ることができなかった。中国とインドはともに発展途上国であり、発展する上で直面する様々な問題にどのように対応するべきかは、両国の政府とNGOが共通して取り組んでいる課題である。今回の訪問にあたり、暖かいご協力をいただいたインドのすべてのネットワーカーに、改めて感謝を申し上げたい。 (文責:李凡 翻訳:松江直子) |
作者: 松江更新 | GLI関連ニュース | 17 May 2007 | 00:00