
| 2007年4月29日夜、南京東路地区活動センターで、GLIの第五回ネットワーカーサロンが行われた。上海妙心家政サービス会社の創始者で総経理の黄綺軍氏が妙心の設立と発展について紹介し、GLI事務局長の李凡からは、インドで訪問したNGOの様子が紹介された。企業、大学、NPOから12人が参加した。
活動記録: GLI 第5回ネットワーカーサロン 時間:2007年4月29日19:00-21:00 場所:南京東路地区活動センター1号教室 司会:李凡(GLI事務局長) メインスピーカー:黄綺軍(上海妙心家政サービス有限会社創始者兼総経理) 黄綺軍:まずみなさんにちょっとした映像をお見せしましょう。これは北京のNPP(公益事業パートナー基金会、Non-Profit Partners 、略称NPP)が撮ってくれたものです。これを見れば、妙心について、直感的な印象や、「家政婦」についての視覚的な概念も得られるでしょう。 私は以前、コンピューターを学んで、ITを仕事にしていました。でもそのうち飽きてきて、だいぶ長いことやったし、もっと別の選択があるはずだと思い、別の道を歩きたくなったのです。それで、台湾人がやっていた公益組織でボランティアをしました。そのときに自分の働きで周囲の人や環境を変えることができるということがわかりました。その組織は貧困地域の「民工」と呼ばれる人々を訓練し、彼らの就職の手助けをするのですが、取り立てて訓練するというのではなく、生活のなかでの「訓練」でした。ボランティアをしたお陰で、これらのあまり尊重されていない人たちは、とても素朴で、尊敬されるべき存在だということがわかりました。 組織が上海にもつくられることになったので、私も上海にやってきましたが、台湾側の理由でプロジェクトが中止になりました。でも、私は自分で続けることにしたのです。私は「家政サービス」を自分の事業として選んだのですが、街の家政サービス仲介業とどんな違いを持たせられるのかいつも自問していました。仲介業には仕事があるだけで、家政サービス員は「尊重」されておらず、技能訓練や法的サービスはなく、就職範囲も狭いなどと色々な問題があります。家政婦は、技能的なサポートのほかに心理的サポートも必要としていますが、ホワイトボードに黒い字で書くことは効果的ではありません。精神衛生がより重要で、彼女たちは経済的に貧困であるだけでなく、精神的にも貧しさがあります。猜疑心、嫉妬心、自己卑下などのせいで、彼女たちはまじめに仕事に向かえないのです。農村で、力仕事をしていた彼女たちは、都市の家庭の細かい仕事にどう適応したらよいのでしょうか。 雇い主の骨董を家政婦が割ってしまうという問題が起こった事がありました。恩を感じるということが分からず、マイナス面の影響が出て、彼らはやればやるほど疲れて、とてもつらく感じていました。しかしながら、中国の伝統の根はやはり彼らの中にあって、私たちは中国の伝統文化を通じて、彼らの気持ちを落ち着かせることができたのです。 はじめ、私たちは彼女たちに「お客様は神様」だというサービス理念教育をしていましたが、効果はありませんでした。なぜなら、この言葉は信仰という背景のもとに成り立っているのに、彼女たちには神に対する敬愛の心がないからです。それで、私たちは言い方を変えて、「お客様は衣食を与えてくれる父母」だと諭しましたら、効果が出ました。これは伝統文化の啓発によるものです。 なぜ、ほかの仕事ではなく家政サービスを選んだのか、と聞かれたことがありますが、私たちが援助している農村女性は30~40歳で、高等教育を受けたことがないので、基本的に家政を選ぶしかないのです。彼女たちの就職範囲は比較的狭く、家政は彼女たちに適した仕事です。 この仕事を始めて4年になります。色々な問題がありますが、だんだんと改善しています。全国の家政業界では、2,000万の職場を提供できますが、大部分の家政婦は文化程度が比較的低いです。私たちの仕事は彼らに影響を与えるばかりか、その下の世代にも影響を及ぼすのです。ある部分の観念は伝わっていくものですから。 今の家政業界は、心の問題に対して、深い検討を行っていませんが、これでは、今後多くの問題が起こるでしょう。私たちが教える技能知識はすべて簡単ですが、その範囲は広いのです。たとえば電子レンジや掃除機を使うことは、私たち都市に住む家政婦ではない人にとっては、とても簡単なことです。しかし、今までそれを使うことはおろか見たこともない農村女性にとっては、とても難しい。私たちは基本的な常識を教えているのです。 私はこの仕事を幅広く行い、ひとつの成熟したモデルを作ってから、中国各地に広げて行きたいと思っています。ネット上でのビデオ推薦システム、CRM(顧客管理)システムとマルチメディアネット家政学校など、すでにいくつかのシステムを開発しました。これらのシステムはコストの削減にもなり、中国国内で初めての家政マルチメディアシステムでもあります。コンピューターを使ったことがない家政婦でも、1,2分で学べるなど、彼らに的を絞って開発したシステムだといえます。 私が行っているのは公益事業ですが、一般企業と同じく、さぼったりすることはできません。非常に慎重にやっています。この4年の間に私たちは900人近い人を訓練し、ある程度は発展しましたが、まだ大規模に広げて行くつもりはありません。 住み込みの家政婦は、最初の1,2か月はいいのですが、外出して別の人と接触すると“汚染”されてしまいます。自分の技能は棚に上げて、どの家の給料がいいかばかり話し、だんだんとサービスに影響するようになります。私たちの位置づけに問題があるのかもしれませんが、海外の良い事例が参考になります。また、24時間の住み込みは、色々な衝突を引き起こします。私たちは目下、浦東の聨洋・金橋などの大型コミュニティに生活センターを設け、教師を派遣して、家政婦がよい方向に発展し、衝突を減らし、プロ意識を確立できるよう導く計画です。気持ちの整理がつかないと、彼らはやはり自分のことを「使用人」と考えてしまいます。センターは雇い主の家から15分程度の距離なので、住み込む必要はありません。この方式は評判がよくて、マッキンゼーは、「これはひとつの突破口になる」と考えており、私たち自身も今後はこの方向で発展しようと考えています。 私たちは寄付だけに頼るわけにはいきません。中国の(寄付に関する)大きな環境はまだ成熟していないので、やはり市場と結びついていかねばならない。でも、企業をやるのではなく、企業と公益の中間となるのです。あとから、これを「社会企業」と言うのだと知りましたが、私の「社会企業」に対する理解は、まさに公益と企業の中間的存在です。4年間やってきて、とても楽しいです。私欲のためではありませんから。今は理論的な指導も行うようになりました。ビジネスと公益以外のもうひとつの道を見出したのです。公益事業は誰でもできるわけではありませんが、ビジネスも長くやっていると飛び出したくなるものです。しかし現実はこのバランスが難しく、理想論になってはいけません。社会企業は一考に値すると思います。今後、プロジェクトの範囲と営業収入を増やす予定です。 私の理解では、あらゆる企業はすべて社会性を具え、社会的責任を負うべきです。今、企業は公共利益を軽視しがちですが、社会的責任を負ってこそ、長期的にやっていけるのです。 <ディスカッション> 李凡:家政婦さんに自分の空間を与えるという黄さんの事業モデルは、とてもいいと思います。将来の不動産開発においては、建物のなかに家政婦さんの住まいを作ることを考えてもいいですね。私たちのサイトには、黄さんの理念と似た組織があります。「アモイ五斉人文職業訓練学校」という組織で、彼らが出稼ぎ者のために行っていることは、妙心の考え方と非常に似ています。つまり知識の教育だけではなく、心の教育も行っているということです。妙心と五斉を先駆者として、このモデルは推進できると思います。 Q:あなたが訓練した家政婦は、主にどのような家庭に行くのですか?現在の規模はどれくらいですか? 黄:今まで、800-900人ほど訓練しましたが、これは流動的な数字です。ある人は訓練がおわるとすぐ仕事につきますが、しばらく働いて家に戻ります。現在固定的な家政婦は大体100人ほどで、主に住み込みです。サービス対象は高収入客層や上海駐在外国人家庭ですが、通勤方式を発展させようとしています。 Q:なぜ、非営利にするのですか?これは稼げるプロジェクトでしょう。 黄:利潤の問題だけではなくて、より広範な満足度の問題です。組織にはブランドが必要ですが、私たちが住み込み家政婦を訓練するのは、彼らの文化と雇い主との間の差が激しいからです。私たちはプロ意識の養成を重視し、資金は各方面から私が工面します。 李凡:すこし補足しますと、企業の社会性と社会企業とは、違う概念です。社会企業はひとつの社会問題を解決するという目的で設立されるのであって、営利のためではありません。黄さんははじめから、農村女性を助けたいと思っていましたが、寄付だけに頼るのはだめだと考えて、だんだんと企業の性質を持つようになったのです。両者は、はじめの目的が違うのです。 Q:これらの女性の募集はどうするのですか? 黄:私たちは地元政府、婦女連合会、仲介業者あるいはすでに働いている先輩たちの紹介を通じて募集します。この部分はまだ成熟しているとはいえず、もっと広く募集できると思います。以前、私はスーツにネクタイで募集に行きましたが、彼らにはペテン師に見えたようで、やはり地元の人や政府を通じたほうが効果的です。 Q:専業職員は何人いますか?彼らの研修やレベルアップは?彼らは家政サービスの経験はあるのでしょうか。 黄:専業の管理職員は7-8人で、仕事の中でそれぞれレベルアップを図っています。訓練は、一部はスタッフによる訓練、一部は外部講師、たとえば、上海医科大学の教授に新生児の世話の仕方を、梅隴鎮の高級シェフに料理を指導してもらったりします。ボランティアの場合も、講師料を払う場合もあります。 Q:農村女性を募集するとき、どのような採用基準がありますか?また、彼女たちに対し、どんな約束をするのでしょうか。今後の就職の見込みはいかがですか。 黄:婦人科、肺病など一連の身体検査をしてもらいます。合格した人と契約を交わし、訓練を受けたのちに、仕事があることを保証します。家政は業務範囲が広く、上海には20万の職場がありますが、まだ10万ほど足りないので、彼らが仕事にあぶれる心配はありません。しかし、これは悪循環ともいえます。家政婦は「使用人」の気持ちで、仕方なく家政婦をやる、技能がないから尊重されない、それで気持ちがすさむ、仕事に影響する、さらに尊重されなくなる、という悪循環です。私たちのモデルには、まだ多くの欠点があり、マッキンゼーがこのモデルを整理し、成熟したものにしてくれるのを待っています。 Q:もう4年もやってきたそうですが、営利ではないのなら、どのように妙心を維持し、業務を拓いていったのですか? 黄:私の友達には寄付できる人もいますので、今日まで、なんとか維持できました。もっとひろく展開していくのは、まだ無理ですが、いまでは多くの組織が私たちを支持してくれます。浦東でも民弁非企業の営業許可をやっと批准してくれたところです。中国の法律はまだ整っておらず、民弁非企業の許可を取るのも大変なんです。 Q;妙心の「お手伝いさん」の収入はどうなっていますか?外と比べて待遇は? 黄:食事代と宿泊費は無料ですから、私たちの提供する条件は悪くないと思います。訓練を受けた家政婦の収入は一般の家政婦の収入に比べ、20%くらい高いです。 Q:私の父は以前家政会社に勤めていたことがあり、この業界は営業利益をあげるのが難しいと聞いています。あなたはどのように利益を上げているのでしょうか。どの部分で利益がでるのですか?またその中からどれくらい控除していますか。 黄:確かに、この業界で利益を出すのは難しいし、仕事は煩雑です。自ら力を出す気持ちがないのなら、この業界はやらない方がいいです。私にはIT企業という基礎があるので、妙心を支えることができています。資金や家族の応援などの後ろ盾が安定してはじめて、安心して自分の好きなことができるのです。私たちが控除する金額は市場より少ないのですが、持ち出しの方はずっと多いです。 第二部:李凡女史がインド訪問の様子を紹介 内容は訪印報告:GLI国際顧問委員会年度会議、インドに開催 を参照 <ディスカッション> Q:インドのNGOはどのように登録するのですか? 李:インドにはNGOに関する法律が沢山あり、チャリティの寄付や贈与の管理もとても厳格ですが、登録は比較的簡単です。 Q:私は今、ずっと考えていたのですが、「時間を寄付ネットワーク」とインドでなにか協力できないでしょうか。経済と企業の発展はNGOも引き上げます。なぜ中国の手工芸品がインドより良いのか、原因はおそらく原材料と、中国人の細かい気配りと手先の器用さのせいだと思います。インド企業のCSRとNGOはどのように連動しているのでしょうか。 李:「善意社会事業センター」創始者の文章に、「インドのCSRは古い歴史を持ち、大財団であるTATAは、CSRの理念を導入し、企業の理念をNGO管理に導入したり、職員をNGOに派遣したりしているが、メディアにはCSRを通じて市場を独占しているのではないか、と非難された。企業のCSR活動はいつもこのような疑惑をもたれている」、とありました。インドには先端的な組織と、とても草の根的な組織が同時に存在しています。先端的な組織は、大きな基金会や企業が支援しています。しかしながら、先端的な組織と草の根的な組織の間にはなにもつながりがありません。インドの使用言語が多すぎることも、違う地域同士の交流や理解を困難にしています。 Q:私は浙江省出身ですが、浙江の小企業は、大きく発展したのちに、故郷に貢献をし、経済を推し進めています。民営企業は社会にとって、非常に大きな推進力になります。インド人は天命に安んじて、分を守りすぎ、競争心に欠け、たまり水のように活気がない。競争を提唱し、企業にNGOの発展を推進させるべきです。「時間を寄付ネットワーク」は非常に少ない投資ですが、効率は良い。私たちは主にネットワークを利用して、このモデルを多くの地方で適用しています。コンピューターとネットワークさえあれば、インターネットの生存能力を公益と結びつけ、企業と公益が協力して、とても大きな効果を生み出せます。 黄:インドについて突然思いついたことですが、インドのNGOはひろく宗教の基礎の上に設立されています。古い国というのは、背負うものも重く、富者への敵愾心がないのも、一種の因果観念があるからです。富者は前世によい因果が、貧者は前世に悪い因果があったと考える。この因果のため、彼らは富者を敵と思わないのです。5億人の文盲がいる国で公益活動をするには、一に資金、二に文化です。私はインドでは難しいと思いますが、将来、もし彼らを助ける機会があれば、まず基礎教育をしっかりする援助をしたい。インド政府の評価すべきところは、盛んにIT産業を発展させたことだが、失敗しているのは基礎教育などをうまく推進していないところです。 李:インドのカースト制度は、政府が解決できない問題です。この点は彼らの民主状況と矛盾していて、矛盾の結合体といえます。彼らが現状に甘んじているので、手工芸品も粗悪になり、これは発展のボトルネックとなっています。 |
作者: 松江更新 | GLI関連ニュース | 29 May 2007 | 00:00