【英国】“cool2care”―障がい児を持つ家族のための新しい社会企業の誕生
| Philip Conwayさんは、障がい児を持つ家族のための在宅ケアの充実を目指して、今年の9月に新しい社会的企業“cool2care”を立ち上げる社会起業家。8月21日、ETIC.*GLI*SVP STYLE国際交流セッションとして、来日中のConway氏のトークセッションが行われました。
PhilさんはIBMで20年間勤務し、今はIBM Business TransformationのDirectorとして活躍するビジネスマンだが、ご自身が身体と学習に障がいのあるお子さんがいることから障がい児と暮らす家族を支えるサービスに強い関心を持ち、この4年間は、英国のチャリティ団体「Contact a Family」の理事を務め、障がい児と暮らす家族の支援や情報提供を行ってきた。 イギリスでは、「Community Interest Comany(CIC)」という社会企業のための新しい法律が2004年に成立し、社会企業にとっての法的枠組みが整った。利益や資産を社会的投資に使うこと、年に一度コミュニティの評価を受けることを規定し、第三者機関である調整委員会が審査をする。NPOの理事会システムに比べ、創立者のコントロールが効くことなど、地域社会に貢献する社会企業には追い風となるこの制度の登録は今年7月にはじまったばかりだ。 Philさんも昨年から新しい在宅ケアサービスの立ち上げを準備。IBMは1年間の有給休暇を彼に与え、いよいよこの9月に新事業“coo2care”をスタートする。その背景には、98%が在宅ですごしていると言われるイギリスの障がい児(770,000人)を持つ家庭の貧困や離婚率増加といった危機的現状と、それに対するサポートモデルの変化がある。かつては政府が「サービスの提供者(施設)」に補助金を支給していたが、1995年から「障がい児を持つ家庭」に直接補助金を交付し、家庭がサービスを「選んで買う」システムにゆっくりと移行した。
“cool2care”のサービスの特徴は、障がいを持つ家族と、彼らの困り事全般に対応できる質の高いトレーニングを受けたケアスタッフとのマッチングを行い、障がい児のいる家族の家庭生活をサポートすること。収益の柱は、ケアスタッフ養成の研修費とスタッフを家庭に紹介する斡旋料。ケアスタッフの募集は、施設職員のほか、低賃金で満足のいかない仕事についているポーランドやチェコからの移民、Gap-Year(大学に進学する前に1年間社会に出て見聞を広めると共に、奉仕活動や企業勤めによって自分を見つめなおし、本当に将来自分が何をしたいのかを見つける手がかりとする制度)の学生などを想定している。「人々をケアすることは、かっこいい」と思ってもらえるようにしたい、と組織名を考えた。 トレーニングは実績のあるCHASEホスピスと協定を結んで委託する。当初から複数地区での展開を想定し、Surrey(富裕層が多い)と Birmingham(工業地帯・貧困層が多い)というタイプの違う2都市で事業を立ち上げる。「キャンペーン」を展開するための効果的な媒体がないことや、スタート資金の不足、相手の要望により、さまざまなタイプのサービスを提供する複雑さなど、直面する課題も多いが、Philさんのビジネス経験を活かしたビジネスプランは、2007年のGlobal Social Venture Competitionのファイナリストに選ばれるなど、高い評価を得ている。
参考: cool2care website http://www.cool2care.co.uk/
文責:松江直子 (ETIC.による当日の資料を部分的に借用しました) |
|
作者:
松江更新 |
GLI関連 |
09 October 2007 |
00:00